ポカンとお口、開いていませんか?
皆さんは呼吸する時に、鼻と口、どちらで呼吸していますか?
ヒト本来の呼吸法は鼻呼吸です。しかしながら、日本人の7割(子どもは8割)が口呼吸をしているといわれています。さらにはコロナ禍によるマスク生活が日常となっていたこともあり、息苦しさや口元が隠れていることの油断から、口呼吸になりやすいという問題が指摘されています。
では口呼吸の何が問題なのでしょうか。
口呼吸によるリスク
むし歯、歯肉炎、口臭のリスク
口呼吸をしていると、口の中を空気が通り抜けるため、当然ながら乾燥しやすくなります。口の中が乾燥した状態は、唾液も乾いてしまうため、唾液が持つ殺菌作用や再石灰化作用が弱くなり、むし歯や歯肉炎、口臭の原因となり得ます。唾液はさまざまな健康パワーがあるので、乾燥はなるべく予防しましょう。
歯並びが悪くなる
鼻呼吸することで、歯には、唇や頬側からは後方へ、舌からは前方へ押す力がかかります。この内と外からの圧力により歯並びが保たれるようになっています。
しかし、口呼吸で口が開いた時間が長く続くと、内側からの圧力が強くなり、歯は前方に押される一方となって歯並びに影響が出てきます。
顔貌の変化
口呼吸が習慣化すると、口輪筋という口周辺の筋肉が緩んでくる場合があります。
口輪筋が緩むと口角が下がり、ほうれい線や目元・口元のシワ、フェイスラインの崩れにつながります。
子どもの場合、お口周りの筋肉の発達が悪くなり、のっぺりした顔になりやすくなるといわれています。
風邪をひきやすくなる(ウイルス感染を起こしやすくなる)
鼻呼吸ではウイルスや細菌などの異物をフィルター効果で減少させ、吸い込む空気の湿度を調整することができます。しかし、口呼吸ではそれができないため、乾いた空気が直撃することによって喉が痛くなったり、ウイルスや細菌がそのまま体内に侵入したりして、感染症を起こしやすくなります。
集中力の低下や疲労を招く
口呼吸は鼻呼吸と比べ呼吸が浅くなり、酸素の取り込み量が悪くなります。その結果、酸素が不足し、集中力・代謝の低下や、疲れが取れにくいなど、全身に影響する場合があります。
まとめ
口呼吸になる原因が、鼻炎などで鼻が詰まっている場合にはそちらの治療がまず必要になりますが、くせや習慣による場合には、意識して鼻呼吸をすることが大切です。睡眠時に口が開いてしまう人は、専用のテープで閉じてしまう方法も有効です。
歯科医院では、歯並びに問題がある場合は矯正治療を行い、簡単にご自宅でも取り組んでいただけるトレーニングで口腔周囲筋を鍛え、口呼吸から鼻呼吸へと移行させます。 まずは原因にアプローチし、改善していきましょう。